境内と見どころ

国指定重要文化財の本尊十一面観世音菩薩立像や、横浜市指定有形文化財の金剛力士像(仁王像)と仁王門弘など、弘明寺境内の見どころをご紹介致します。

本堂 ほんどう

本堂

寛徳元年(1044年)3月10日、光慧上人により本堂が建立され、開山された。現在の本堂は、明和3年(1766年)に智光上人により再建されたもの。光慧上人が建立した時の古材である、チョーナ彫の床板などが使用されている。
昭和51年(1976年)に茅葺より銅板葺に改修された。間口6畳半、奥行き6間一尺。

本尊十一面観世音菩薩立像
ほんぞうじゅういちめんかんぜおんぼさつりつぞう

本尊十一面観世音菩薩立像
大正4年(1915年)8月10日 国宝指定
昭和25年(1950年)8月29日 国指定重要文化財

平安時代中期の作。像高181.7cm、ハルニレの木の一木(いちぼく)造り。 関東に遺る鉈(なた)彫りの典型的な作例として有名である。
※鉈彫りとは、丸ノミの彫り痕(あと)を像表面に残した特殊な彫り口の作品のこと。

木造 黒漆花瓶
もくぞう くろうるしけびょう

木造 黒漆花瓶
昭和63年(1988年)11月1日 横浜市指定有形文化財

室町時代初期の作。御本尊様に常花として供えられたもの。
「亜」と言う字の形をしており、欅(けやき)材を轆轤(ろくろ)で挽いて成型した4つの部分を組み立て、黒漆を全面に塗装した。木造で大型の花瓶であり、他に類を見ない珍しさがあることから、当時の弘明寺の伽藍(がらん)が大規模であったと予想される。

大悲殿の扁額
だいひでんのへんがく

大悲殿の扁額

山岡鉄舟の書、明治初年、弘明寺より金沢八景を回遊した時、書したもの。
大悲殿とは、人々の悩み苦しみを共に感じ歩む大悲の観世音菩薩を奉る寺の意。

身代地蔵菩薩
みがわりじぞうぼさつ

身代地蔵菩薩

平成13年(2001年)6月、京浜急行電鉄会社設立100周年を記念して、全ての人々の病気平癒、身体健全を祈願するため奉納された。身体の悪いところと同じ場所をタオルやハンカチでさすり祈願することで、自身や家族の身体を癒してくれる。

七ツ石 ななついし

七ツ石

善無畏(ぜんむい)三蔵法師が渡来の際、当山の霊域を感得し、陀羅尼(だらに)を書写して結界を立てた霊石。
尾りょ石と刻してある「尾閭石」や大黒天の袋に似ているので名付けられた「福石」がある。

楓関門 ふうかんもん

楓関門

應永18年(1411年)建立。
明治41年(1908年)新堀源兵衛氏修築。
大正12年(1923年)9月1日、関東大震災で倒壊後、昭和4年(1929年)再築。
平成16年(2004年)平成の大修築にて修復。

聖天堂 しょうてんどう

聖天堂

弘仁9年(818年)、弘法大師が回国の際、この地に不思議な力を感じて、聖天(大聖歓喜天)を彫り安置し、一千座の護摩を焚いて庶民の幸福を祈願したとされる。

大師堂 だいしどう

大師堂

真言宗の宗祖、弘法大師を奉安している。弘法大師が弘仁5年(814年)に当山を訪れ、聖天(大聖歓喜天)を彫り、山上の奥の院に奉り、衆生救済のために一千座の護摩を修法したと伝えられる。弘法大師は今でも高野山奥の院に住み、人々の幸福を祈り続けている。

金剛力士像(仁王像)と仁王門
こんごうりきしぞう(におうぞう) と におうもん

金剛力士像(仁王像)
平成10年(1998年)11月9日 横浜市指定有形文化財

仁王像は、13世紀後半、早期運慶様を尊守する鎌倉仏師の作。神奈川県下に遺る最古の中世作。平成13年(2001年)に修理が行われた。

仁王門

仁王門は、江戸時代に再建されたもので平成14年(2002年)に改修工事が行われた。「瑞應山」の扁額は享保7年(1722年)に没し、徳川幕府に仕えた書家佐々木玄竜の書。

梵鐘と鐘楼堂
ぼんしょうとしょうろうどう

梵鐘
平成9年(1997年)11月4日 横浜市指定有形文化財

梵鐘は、鋳銅製の和鐘で江戸時代中期の寛政10年(1798年)、阿闍梨(あじゃり)秀光が願主となり再々造したもの。江戸神田に住む西村和泉守藤原政平という鋳物師(いもじ)の作で、川崎大師平間寺の梵鐘も同人の作。

鐘楼堂

現在の鐘楼堂は平成10年(1998年)に改修された。

紺紙金泥両界曼荼羅図 二幅
こんしこんでいりょうかいまんだらず ふたの

平成10年(1998年)11月9日 横浜市指定有形文化財

江戸時代の作。胎蔵曼茶羅451.7㎝×368.5㎝ 金剛界359.6㎝×360.8㎝ 弘法大師請来の曼茶羅を大師指示の元に、赤紫色の綾地に金銀泥の描線のみで忠実に再現した高雄曼茶羅に倣い制作された。下地の紙を紺色に染め十数枚貼り合わせた上に各尊を金泥で線描している。全国的にも現存稀な作品で、その大きさ故、堂内に掲げるのは不可能である。 平成16年(2004年)に修復完成。現在、神奈川県立金沢文庫蔵。

絹本着色 千手観音二十八部衆像
けんぽんちゃくしょく せんじゅかんのんにじゅうはちぶしゅうぞう

昭和34年(1959年)3月6日 神奈川県指定文化財

鎌倉時代の作。千手観音とその眷属28部衆を従えた図。
現在、神奈川県立博物館蔵。